頭痛と吐き気

頭痛と吐き気を
伴うときは危険?

頭痛は一般的な症状であり、約半数の日本人が慢性的な頭痛に悩まされているとされています。実際、頭痛の経験がない人はほとんどいないでしょう。頭痛にはさまざまなタイプがあり、現れる症状や原因はそのタイプにより異なります。一般的な頭痛の場合でも、様子を見たり市販の頭痛薬を使用することがありますが、原因が重篤な疾患にある可能性もあるため、しっかりと検査を受けて原因を特定することが非常に重要です。
特に注意が必要な「吐き気を伴う頭痛」に焦点を当て、考えられる病気や必要な対処法について詳しく解説します。

吐き気を伴う頭痛

頭痛の種類について

頭痛には様々な種類が存在しますが、一般的には一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます。
一次性頭痛は、頭痛の原因となる疾患が特定できない状態を指し、一般的には日常のストレスや疲労が原因となります。一方で、二次性頭痛は、特定の病状や他の医学的な問題が原因となっている頭痛を示します。
具体的な例としては、以下の通りです。

一次性頭痛

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 群発頭痛

二次性頭痛

  • 脳卒中
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎
  • 慢性硬膜下血種
  • 緑内障
  • 副鼻腔炎

一次性頭痛は一般に命に直接関わるものではありませんが、特に注意が必要なのは二次性頭痛です。これには命に関わる可能性があり、適切な医療の提供が重要です。

頭痛外来について

危険な頭痛の特徴

一次性頭痛と二次性頭痛を見分けるためには、頭痛診療ガイドラインに基づく注意が必要です。
以下は、特に注意が必要な症状の例です。

急激な発症

突然の激しい頭痛は、二次性頭痛の兆候となる可能性があります。急激に発症し、今まで経験したことのない痛みが生じた場合は注意が必要です。

以前と異なる症状

以前とは異なる頭痛の性質やパターンが見られる場合、二次性頭痛が原因となっていることが考えられます。最近発症した新しい頭痛やいつもと違う頭痛が生じた場合は注意が必要です。

他の症状との関連

吐き気、嘔吐、発熱、視覚障害、意識の低下などの追加の症状が伴う場合、二次性頭痛の可能性が高まります。その他に、ろれつが回らない、目が見えにくいなどを伴う場合は注意が必要です。

特定のトリガー

特定の活動や状況が頭痛を引き起こす場合、それが二次性頭痛の原因である可能性があります。

疾患や治療との関連

既存の疾患や治療中の疾患がある場合、それが頭痛の原因となる可能性があります。主にがんや免疫不全疾患などを患っている方は症状に注意が必要です。

吐き気を伴う頭痛の種類

頭痛が強いと、吐き気も伴うことがあります。
吐き気を伴う頭痛の原因には、主に脳卒中、髄膜炎、片頭痛が含まれます。

脳卒中

脳卒中は、脳の血管が破れたり詰まったりすることで引き起こされる疾患の総称であり、具体的には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つが一般的です。脳卒中による頭痛は吐き気を伴うことがよくあり、注意が必要です。

くも膜下出血の場合、特に「突然発症し、これまでに経験したことがないほど強い頭痛」が特徴的です。脳出血や脳梗塞の場合、頭痛に加えて意識障害、ろれつが回らない、視覚障害などの脳神経の異常が見られます。また、頭がふらふらする感覚やめまいも現れることもあります。

これらの症状が現れた場合は、緊急的な治療が必要であり、迅速に医療機関を受診することが非常に重要です。特にくも膜下出血の場合は、早期の治療が不可欠とされています。

当院では、日本脳神経外科学会の専門医・指導医である院長が、最新のMRI機器、CT機器を用いて専門的な診察を行っています。診察の結果、緊急で治療が必要な場合には、迅速に対応可能な医療機関への受診もスムーズに行えるように体制を整えています。症状にお困りの方はお気軽にご相談ください。

また、頭痛外来、脳卒中予防外来、脳血管内治療外来なども設けており、患者さんの症状や病態に合わせて最適な治療をご提案しております。

脳卒中について

髄膜炎

髄膜炎は、脳や神経を覆う「髄膜」と呼ばれる膜に炎症が生じる疾患であり、その原因として細菌やウイルスがある一方で、がんや特定の薬剤が引き起こすこともあります。
頭痛や嘔吐が一般的な症状であり、首を前に曲げると痛むなどの髄膜刺激症状が特徴的です。また、発熱や下痢を伴うこともよくあり、風邪と混同されることもあります。
髄膜炎は子供にも発生しやすく、特に子供が頭痛を訴えて嘔吐している場合は、すぐに医療機関を受診し検査を受けることが重要です。

当院では、日本脳神経外科学会の専門医・指導医である院長が最新のMRI機器やCT機器を使用し、より専門的な治療を行っています。また、小児脳神経外科外来も設けており、水頭症やキアリ奇形などの小児脳神経外科疾患に関するご相談を、東京慈恵会医科大学廣津医師が担当しています。お子様の脳神経疾患に関する専門的な診察も可能ですので、お気軽にご相談ください。

片頭痛

吐き気を伴う一次性頭痛の中で多いものとして、片頭痛が挙げられます。
片頭痛は主に20~40代の女性に多く見られ、こめかみから側頭部にかけて脈打つようなズキンズキンとした頭痛が生じます。また、頭痛が発生する前には、閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる、視野にギザギザした光がちらつく前兆がある場合もあります。
片頭痛の際には、光や音、においなどに過敏になることがあり、静かな場所で安静にすることが効果的とされています。また、血管が拡張して血行が増加すると症状が悪化するため、長風呂やマッサージ、お酒の摂取は逆効果とされます。

市販の頭痛薬で症状が軽減することもありますが、片頭痛が重度な場合は、適切な治療が不可欠です。当院では頭痛外来を設けておりますので、片頭痛に悩む方はお気軽にご相談ください。患者さんの症状を丁寧に伺い、必要に応じて検査や診察を行い、その上で適切な治療を提案しています。

吐き気を伴う頭痛は
早めにご相談ください

吐き気を伴う頭痛には、脳卒中や髄膜炎などの二次性頭痛が潜んでいることがあります。頭痛は一般的な症状である一方で、二次性頭痛が原因である可能性も考慮する必要があります。脳卒中や髄膜炎などは、命にかかわるだけでなく、発症すると重篤な後遺症が残り、その後の日常生活にも大きな影響を及ぼす可能性のある疾患です。頭痛は軽視せず、特にいつもと異なる症状や強い頭痛が現れた場合は、早めに病院を受診することが重要です。

当院の頭痛外来では、MRI機器とCT機器を完備しており、より専門的な検査や診察が可能です。また、脳卒中予防外来や脳血管内治療外来、小児脳神経外科外来なども設けておりますので、症状や病状に合わせた、最適な治療を迅速に開始することが可能です。

頭痛外来について