頭痛と薬

市販の頭痛薬について

ロキソニン日本国内では頭痛に悩む方が4人に1人という報告が日本頭痛学会から出ています。頭痛で悩む人は多いです。
通常、頭痛の症状を緩和するためには痛み止めが使用され、市販薬を使って頭痛を和らげる人も多くいます。薬局で手軽に入手できる市販薬は、急な頭痛にも役立ちます。
ただし、頭痛には多くの種類があり、市販の痛み止めを服用しても効果がない場合もあります。

なぜ頭痛は起こるのか

頭痛の種類

片頭痛

脳の血管が拡張し、周囲を走る三叉神経が刺激され、炎症を引き起こす物質が分泌されることで、頭痛が発生します。この痛みの誘因に加えて、脳血管の拡張が片頭痛を引き起こす可能性も高まります。片頭痛は、左右の頭部または両方で脈を打つようなズキズキした痛みが特徴で、光過敏や音過敏、吐き気が伴い、症状が悪化することがあります。視野にキラキラやギザギザした模様が見えたり、ものがゆがんで見えたりする閃輝暗点が前兆として出る方もいます。閃輝暗点に関しては別項をご参照ください。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、片頭痛に比べて痛みはそれほど強くありませんが、日常生活に大きな影響を及ぼすことは珍しくありません。このタイプの頭痛は、頭部に締めつけられるような痛みを特徴とし、頭全体が重いような痛みに襲われることがあり、長時間続くこともあります。その結果、通常の日常生活が制約されることもあります。緊張型頭痛は、頭痛の中で最も多く見られ、約200万人の人がこの症状を抱えていると言われています。

群発性頭痛

片頭痛とは、片方の目に激しい痛みが現れ、特に若い男性に多く見られる種類の頭痛です。この痛みは非常に強烈で、「眼球をえぐり取られるような感覚」と表現されることもあり、この痛みが涙や鼻水の過剰分泌や目の充血を引き起こすことがあります。痛みが非常に強いため、通常の痛み止めでは効果が得にくいことがあります。この種の頭痛は一般的に同じ時間に周期的に発作が現れ、痛みは約15分から3時間ほど続き、その後徐々に治まっていきます。痛みが一時的に和らいだと感じ、痛み止めを使用することなく放置することがあるため、専門医の診断が重要です。

市販の頭痛薬が効かない
原因と対処法

次のような場合、市販の頭痛薬が効かない可能性があります。

お薬を飲むタイミング

お薬を飲むタイミングが悪いと、効果を得にくくなることがあります。特に片頭痛の場合にはお薬の飲むタイミングが痛みのコントロールに大切です。

頭痛薬を飲み過ぎる

頭痛薬を過剰に摂取すると、効果を得にくくなる可能性があります。1ヶ月に10回以上、頭痛薬を服用すると、薬物乱用頭痛のリスクが高まります。頭痛薬の過度な摂取により、神経がわずかな刺激でも反応しやすくなり、痛みが増幅されることがあります。薬物乱用頭痛は、薬の服用を停止すれば通常約2週間で改善することがあります。また、片頭痛の初期には市販薬が効くことが多いのですが、長期間に及ぶと徐々に市販薬が効きにくくなることがあります。その際には医療機関で適切な検査を受け、頭の中に異常が無いことを確認し、症状から片頭痛と適切に診断されると、市販されていない片頭痛専用薬で対処することができます。やみくもに市販薬を多く飲まず、当院へご相談ください。

お薬が体に合っていない

お薬が体に合わないと効果を得にくい場合があります。さまざまな種類の頭痛薬が存在し、それぞれが異なる効果の発現速度や効き方を持っています。そのため、自分に最適な頭痛薬を見つけることが重要です。また、頭痛薬を変えても痛みが収まらない場合、何らかの病気が原因である可能性があるため、早めに脳神経外科の当院までご相談ください。診察の際、これまでに服用していたお薬の種類を伝えることが役立ちます。

頭痛薬の種類

非ピリン系鎮痛剤(NSAIDs)

ロキソニンロキソニンに含まれる「ロキソプロフェン」やイブに含まれる「イブプロフェン」が該当します。これらの薬物は、プロスタグランジンという痛みを引き起こす物質の増加を抑制する作用があり、痛みが現れた際にすぐに服用すると効果的です。ただし、プロスタグランジンは胃粘膜を保護する役割も持っており、胃の荒れを引き起こす可能性があります。胃の弱い方には、胃粘膜を保護する成分が含まれているお薬をお勧めします。

ピリン系鎮痛剤

カロナール非ピリン系鎮痛剤に比べ、ピリン系鎮痛剤は効果を得やすいとされています。市販薬の中で、ピリン系鎮痛薬の中ではイソプロピルアンチピリンだけが安全性が認められています。この薬は痛みを効果的に緩和できる反面、非ピリン系鎮痛剤に比べてアレルギー反応が出やすい傾向があるため、アレルギーの方は用法に注意が必要です。市販薬の多くにはアセトアミノフェンやカフェインが含まれています。

漢方薬

漢方漢方薬が痛みに効くことは、あまり知られていないかもしれませんが、実は存在します。例えば、葛根湯は風邪の初期症状に使われることが一般的ですが、筋肉の緊張を和らげる効果があり、肩こりや緊張型頭痛の緩和にも役立ちます。片頭痛で激しい頭痛がある方には、呉茱萸湯が血液の循環を改善し、効果が期待できるとされています。また、高血圧気味で頭痛とめまいを経験している方には釣藤散が効果を発揮するとされています。漢方薬は痛み止めと併用しても問題ありませんし、胃への負担も軽減できます。

頭痛薬服用時の注意点

薬剤師へ相談頭痛薬の服用によって喘息症状が引き起こることがあるため、市販薬を使用する際には喘息をお持ちの方は薬剤師に相談することがおすすめされます。また、頭痛薬を1ヶ月に10回以上服用すると、薬物乱用頭痛を誘発する可能性があるため、過剰な摂取には注意が必要です。

このような時は速やかに
脳神経外科へ

脳の疾患が頭痛の原因になっていることがあります。
次の症状がある方は、早めに脳に詳しい専門医がいる病院を受診してください。

  • 頭痛が長く継続している
  • これまで経験したことがない激しい痛み
  • 市販薬を3~5日飲んだが症状が治まらない
  • 痙攣、手足の麻痺がある
  • 今まで頭痛の経験があまりなく、
    50歳を超えて初めて頭痛が起こった

上記だけでなくとも、いつもと違う頭痛などが起こったら速やかに脳神経外科に症状をご相談ください。